RUNAULT UE (ミラージュ) 

須藤

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箱絵  ルノーUEキャリアはフランス小型牽引車ですが、フランス降伏後によってドイツに捕獲され、使用されました。キットはドイツ軍によって機銃と装甲板をとりつけた車両をモデル化しています。とは言いましても、このような改造をされた車両の写真は見たことがありません。と言うことで改造部分については箱絵を参考にしています。また、オリジナルの車両についても、「グランドパワー」1995/9号だけを資料に製作したので、まちがいや勘違いがあるかもしれない事を最初におことわりしておきます。

 キットの第1印象は結構いいかなという気がしましたが、細かく見ていくと、ここはちがう、あそこもちがうという感じで細部を中心に修正を行いました。また、全体的にパーツの厚さが気になりましたので、その辺も修正しました。

ルノーUE側面足周り
 まず、起動輪はスポークのリブが厚すぎるので、外を向いている断面を薄く見えるように削りましたが、作り替えた方が良かったと思います。また、車軸が再現されていないのでプラ棒を埋め込んで、ボルトを付けました。
 上部転輪も実車は車軸が飛び出しているので起動輪と同様に修正しました。
 誘導輪にはおそらくキャタピラのテンション調節用と思われるアームが付いており、それが車体とサスペンションをつないでいるアームに固定されます。しかしキットではここが前部のアームと同じ背の低い物になっていて、固定出来ませんので、プラバンを継ぎ足してアームの形状を修正し、テンション調節アームから伸びたシャフトと調整ボルトが貫通しているように修正しました。
 また、修正はしていませんが、サスペンションが固定されている板?(ボキャブラリー貧困ですみません、知っている方、教えて!)は板にリブが付いているようになっていますが、実際はL字型の部材となっています。

ルノーUE上面車体
 まず、車体前部はキットの型の都合か、リベット及び、ルノーのエンブレムが省略されていますので、修正しました。リベットは非常に小さい物なので、RPM社の「タンケッテ スーパーセット」から削いで使いました。このセットは5種類の車両から選択して作れるパーツがセットになったもので、無駄になるパーツが多く、そこからセレクトしています。
また、ルノーエンブレムはエレールのR35のキットから型取りして取り付けています。
 車体上部の中央にはグリルが3つ列んでいますが、いずれも枠の厚さが気になるので削ったりプラバンに変えたりして薄くしています。また中央のグリルの正面を向いたフラップのパーツはおかしな形だったので、作り直しています。さらに、前部・中央のグリルの留め具をそれらしく追加しました。
 一番前のグリルのすぐ後ろに、実車では横長の小さなハッチがありますので、蝶番や留め具とともに作りました。
 乗員室のハッチのスジボリが1枚多くモールドされているので、一番下のモールドは埋めてしまいます。また乗員の頭が入るドーム状ハッチのスリットは埋めて掘り直しています。
 前部フェンダーはひけがあるので修正後リベットを再生、裏は俗に言"ううすうす攻撃"を行っています。さらに、車体とフェンダー接合部材とリベットを、左フェンダー上にライト(厚みがないので、?と思いますが)を追加しています。また、後部フェンダーにはステーを追加しています。
 今回の製作で一番悩んだのが車体前後4カ所につくフックでした。実車の物はキッットのパーツとはかなり違って、テーハーのついた棒をひねりながら丸めたような形状をしています。いろいろ試したのですが、最終的には加工しやすい糸ハンダで作ってみました。ですから、さわると曲がってしまいます。
 車体右の排気管カバーは薄くした上で、スリットを彫り込んでいます。また、排気管と車体の間の仕切板が省略されているので追加しました。
 あと、車体左側面に雑具箱とスコップのステーが付きますが、箱の形状がよく分からなかったので、ステーだけ作り直しました。

迷彩前車体戦闘室
 この車両最大の特徴である戦闘室ですが、資料等全くないので、箱絵を参考に工作を進めました。主な工作点は溶接ラインとハッチの取っ手の追加と、機銃の取り付け方で、これは箱絵を参考に前部はソ連のマウント風に、後部はただの穴にしてみました。
 あと、キットの戦闘室は上に向かってすぼむように、側面に角度がついていますが、これはメーカーの型抜きの関係でつけられたような気がします。気になる方は修正してみては?(報われないような気がして、私はやめましたが)
 
塗装
 例によって箱絵の車両を再現しようと、ラフな刷毛塗りの冬季迷彩を行ってみました。かすれた感じが出るのではとパステルの白を削って、アクリルカラーの溶剤で溶き、塗ってみました。失敗すると汚いだけになってしまう、危険なチャレンジでしたが、結果はやっぱり失敗だったような気がします。どうも、実車にはけで塗ったのではなく、1/35のキットに筆で塗りましたという感じになってしまいました。また白だけでなく、もう少し色を混ぜたほうが良かったようです。ちょっと納得いかないので、今後修正してみたと思っています。
 
喜屋コン
完成 実はこの作品は喜屋コン2000に応募する事を考えていました。当初の計画では兵士を5体ぐらい加えて、偵察中のビネットを作るつもりでしたが、仕事が忙しくなってしまい、間に合わなくなってしまいました。1週間ぐらいしかなかったのですが、車両があまりに小さいので単品では存在感が無いし、大きさの比較になる物が欲しいと思い、フィギュアを乗せる事にしました。ベースにしたフィギュアはドラゴンの国民擲弾兵です。このキットはコートの腰から下が別パーツなので、車両に乗せるのに都合が良かったです。まず足を股とひざで切り離し、鉄線を通して関節が動くようにして、車体にあわせました。そしてコートをエポキシパテで作ってやれば関節が隠れるので加工が不要となり早く完成させることができました。また、乗員も乗せてやろうと思ってしまい、せっかく完成していたのにハッチをぶっ壊して(別パーツじゃなかったのでくりぬきました)そして新たにハッチを開いた状態で付けなおしたのですが、あわてていたのでハッチの裏の仕上げを忘れ、本当に取って付けたようになってしまいました。

 で、締め切り2、3日前に札幌で受け付けをしている「あいの里ホビー2」に連絡してみると、すでに受付を締め切っているとの事。当日持ち込めばいいかと思っていたのに前日に発送しなければ間に合わない事になってしまいました。本当に時間がないのにハッチを開けてしまったので乗員を乗せないわけにはなりません。で、適当に選んで顔だけ出すようにしました。最後にタイトルプレート(これはコンテストでの見栄えを考えると必須です)、応募用紙を書いて朝5時に完成となりました。(仕事あるのに...)

 毎回そうですが、結局時間に追われて不満足な完成度での応募となってしましましたが、なんとか銅賞に滑り込む事が出来ました。今回は本当にだめかもと覚悟していたので、うれしかったです。来年こそは余裕を持ってコンテストに臨みたいと思っています。

               (おわり) 
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