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今回はアンドレア製90ミリメタルフィギュア CRUSADER 1250 をご紹介します。十字軍遠征は1096年に始まり第8次遠征にて悲惨な結末を迎えるのであるが、今回ご紹介する1250年の十字軍はまだ連戦連勝の時代であり、このキットも精悍な印象を受けます。特に高い岩の上から遠くを見渡す情景は素晴らしい。製作時間はビネットも含めて約1ヵ月(100時間)を要しました。
キット内容
レジン製の岩、その他は全てメタル製パーツです。紙に印刷された9種類のデカールが入っているが、旗の部品はなく鉛板で自作する事としました。尚、部品の破損欠損の際に補充してくれる証紙が入っているのは、良心的で嬉しい。パッケージの写真も美しく創作意欲がかきたてられます。
組み立て
発売より約1年と新しいのでモールドの潰れや傷もなく、状態は良好です。パーティグラインをアートナイフで消し、細かいスチールウールでメタルパウダーを除いた後、中性洗剤と液状クレンザーで十分ウォッシングを行い、乾燥後出来るだけ太い真鍮棒を各パーツに埋め込み、仮組みを行いました。
まず矢状面に2分割された馬の組み立てですが、1ミリ程の間隙が出来るためソフトメタルの性質を利用してネジ式クランプ3個を使って、接着剤をつけたあと左右から締め付けて固定接着しました。このあと馬の耳、首など尾以外は全て接合する。間隙はミリプットエポキシパテで埋めました。
馬だけでもかなりの重量になり塗装の際の固定が困難な事から、レジン製の岩に真鍮棒を使い接合ました。鞍の背もたれの部分は兵士を固定した後に接合する様に注意しました。一般的に鞍を先に接着してしまうと後で兵士が入らなくなる場合が多いので注意しました。
その他、盾・剣・ポーチ・兵士のマント・頭・などは塗装後接合しました。そして、各パーツを塗装用の台に固定し、サーフェサーを軽く2,3回吹きます。
ビネットの製作
今回は二段重ねのベースを作成しました。馬、兵士など装備を含めるとかなりの重量となる為、充分すぎる程の補強対策が必要と考えられます。
レジン製の岩を斜めに置いてギリギリの大きさのデコパージュの板と一回り大きなデコパージュの板を使いました。
まず大きい板に厚さ4ミリの板を4方向から立ち上げ、基部に断面が円形の4分の1の棒を45度にカットして接着。内側に充分補強材にて補強したのち更に5センチの立方体を2個補強材として内部に接着しました。
上蓋を作成し接着し、次に上蓋の周囲に断面が円の4分の1の棒を切断して枠を作りました。この際、最終的に小さいデコパージュがちょうどはまる大きさに枠を作成する様に棒の太さを調整します。間隙に木工用パテを塗りこみ、パテの乾燥後、800番のペーパーを充分かけました。
塗装は油性ペイントのマホガニー色で行いますが、“垂れ”が起きやすい為、薄く7,8回吹きかけました。充分乾燥後クリアーを吹き、ベースの裏面に布(デスクマット)を両面テープで貼り付けてベースは完成です。
次に小さなデコパージュ(第2のベース)の側面に油性ペイント(マホガニー)で塗装後側面をマスクした後、レジン製の岩を接着しました。この際、高い岩の岬をイメージして先端部を高くして角度をつけます。更に岩と地面の段差をなくする様に金属製接着剤を盛り上げたのち、歯ブラシにて地面を荒らしておきます。更にモデリングペーストを薄く塗り、歯ブラシで荒らし、乾燥後サーフェサーを軽く2,3回吹いておきます。尚、接着剤はセメダイン5分間金属用接着材を使用しました。
パソコンを利用したネームプレートの作成
以前はインレタを転写していましたが、字体の種類と大きさに限界があり、最近はパソコンを利用してネームプレートを作成しています。では、その作成法をご紹介します。
まずAdobe photoshopのソフトを使用してネームプレートの大きさを入力します。
その理由は細い枠を入れたいからです。次に背景を決めます。一般的には、黒の背景にしますが、木目や大理石とするのも可能です。(インターネットで検索しダウンロード)
字体はそれぞれの時代、ジャンル別にYahooのFreeFontなどからダウンロードしておきます。ヨーロッパ中世ならSchuwaben Alt Ulcher など。希望の字体名がわかっていれば容易に探すことが出来ます。字体の種類、大きさ、色などを考慮しデザインします。この際、字体を透明(白)で印刷します。これで真鍮板に貼り付けると金色の文字が浮き出る訳です。
インクジェットプリンタラベルの透明光沢フィルム(裏面糊付)に印刷し十分乾燥させます。乾燥後クリアーを吹きハサミで必要な部分を切り抜きます。
0.3ミリ真鍮板に作成したシールを気泡が入らない様に注意しながら貼り付けます。0.5ミリもの厚さでは切断困難ですし、0.1ミリでは安っぽい感じがします。
余分な真鍮板をカッターにてカットした後、切断面を研磨した後、両面テープでベースに接着して完成です。容易ですので是非一度お試しください。
塗装
今回は兵士の服とマントを明るく塗装する事と馬を白馬に塗装する事にしました。岩、地面なども暗く塗りがちですが、明るく塗る事を心がけました。
普段はハンブロールで下塗りをした後、同色系の油絵の具で塗装していますが、兵士の服は白の下塗りの後直接油絵の具のウインザーブルを塗ってみました。薄めの絵の具を3回塗りましたが、影の部分に濃い絵の具がたまりハイライトの部分にはちょうど下の白が透けて見えて美しいブルーにする事ができました。
同様にマントの裏地も直接マジェンダを塗りました。
尚この際、乾燥時間がかかるため超速乾メディウムを使うと便利です。
カラーチャート
塗装に使用したカラー等は以下を参考にして下さい。尚、下塗りはハンブロールカラー、油絵の具はウインザーニュートンを使用しています。またグランドワークとフィギュアの一部にアクリルガッシュ(ホルベイン)を使用しています。
下塗り(U) Base Color(B) Lightening(L) Shadowing(S) ハンブロールエナメルカラー(H)ウインザーニュートン(W)プリンターズインク(P)アクリルガッシュ(A)と略します。
岩
U;ハンブロール レドームタン(H148)
B;アイボリーホワイト(A)
L;レモンイエロー(A)、アイボリーホワイト(A)など
S;バーントシェンナ(A)セピア(A)ブラック(A) ピュアレッド(A)
バーミリオン(A)など
地面
U;ハンブロール マットレドームタン(H148)
B;アイボリーホワイト(A)
L;ペールアクア(A)チチタニウムホワイト(A)
S;オリーブ(A)セピア(A)など
樹木、草など
ハドソンアレンスタジオ社製 サマーターフ フォリージ など
岩の窪みなどに配するとそれらしい。木工用ボンドで接着する
曲りくねった木は木の根を乾燥させた物を使用した
目
白目;チタニウムホワイト+ランプブラック(W)
瞳 ;バーントアンバー+ランプブラック (W)
目頭に微量のカドミウムレッド(W)を入れる。
顔
U;フレッシュマット(H61)
B;バーントアンバー+チタニウムホワイト(W)
L;バーントアンバー+チタニウムホワイト(W)
S;バーントアンバー+チタニウムホワイト(W)
その他頬にカドミウムレッド(W)
髪(金髪)
U;フレッシュマット(H61)
B;フレッシュティント(W)
L;カドミウムイエロー+チタニウムホワイト(W)
S;バーントアンバー(W)
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マント
U;ホワイト(H34)
B;チタニウムホワイト+イエローオーカー(W)
L;チタニウムホワイト(W)
S;ローアンバー(W)、セルリアンブルー(W)
マントの裏地
U;ホワイト(H34)
B;チタニウムホワイト(W)
L;マジェンダ(W)3回塗り
S;ウインザーバイオレット(W)
服
U;ホワイト(H34)
B;チタニウムホワイト(W)
L;ウインザーブルー(W)3回塗り
S;ウインザーバイオレット(W)
服の裏地
U;ホワイト(H34)
B;チタニウムホワイト(W)
L;サップグリーン(W)
S;サップグリーン(W)+ランプブラック(W)
手袋、靴などの皮
U;レザーマット(H62)
B;バーントアンバー(W)
L;イエローオーク(W)
S;バーントアンバー(W)
チェーンモール
U;ブラックマット(H33)+ガンメタル(H53)
B;ランプブラック+シルバープリンターズインク(P)
L;シルバープリンターズインク(P)
S;ランプブラック(W)
冑
一部ニードル研磨法を用い陰はアクリルガッシュで墨入れを行いクリアーで艶を出す。
U;ブルーマット(H)
B;セルリアンブルー(W)
L;セルリアンブルー+チタニウムホワイト(W)
S;ウインザーブルー(W)
鞍
U;レッド(H)
B;カドミウムレッド(W)
L;カドミウムオレンジ(W)
S;カドミウムレッドディープ(W)
馬
最初に馬から塗るのが基本と思われます。
U;マットホワイト(H)
B;チタニウムホワイト+イエローオーク(W)
L;チタニウムホワイト(W)
S;ランプブラック、バーントアンバー、イエローオークなど
影は1色だけでなく、何色も全体の色調を見ながら、しかもしっかりとつけます。最後にハイライト色で光の当たる部分と馬の斑点をいれます。
馬の尾はマットブラック(H)で下塗りをしたあと、チタニウムホワイト(W)とランプブラック(W)で明暗をつける。尚、尾の取り付けは一番最後に行う。
旗
全体の色のバランスを考慮し0.2ミリ鉛板で製作後オレンジで塗装した。影はカドミウムレッドで行う。自然な旗の形に留意のこと。
剣
剣の刃はニードル研磨法で磨いたのち、バーントアンバーとランプブラックを薄く溶いたものを塗り、15分後に柔らかい布で磨く。使いこなした剣が再現できる。
尚ニードル研磨法には粘土細工用のヘラが非常に便利です。先端が三角形、円形など形、大きさが多種類あり細かい場所にも対応可能です。
棒
U;レザーマット(H62)
B;マースイエロー(W)
L;イエローオーク(W)
S;バーントアンバー(W)
金属部の金色
ハンブロールカラー62レザーマットで下塗りした後、リクインで溶いたプリンターズインク リッチゴールドで上塗りしてアクリルガッシュのセピアで影をつける。
以上
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