乾燥装置(クロックポット? 電子冷温ボックス デュオカーゴSX)

鈴木

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 ヒストリカルフイギュアの魅力の一つに、完成品の持つ鮮やかさや華やかさが挙げられます。皆さん既に御承知の通り、それらを演出しているのは主な塗料として使用する油絵の具です。油絵の具には、非常に魅力的な他の模型用塗料では得られない色味の数々があります。その反面、各色の成分の違いにより、塗ったままにしておくと乾燥までに結構時間がかかる色があります。

温冷ボックス1 その乾燥時間を縮める為に、人によってはシッカチフ等の乾燥促進剤を使う、何らかの加熱を試みる、自然乾燥させる等の方法があります。例えば、AM誌やユーロミリテールで有名な松岡氏の様に、ランプを間近に当てて長時間強制乾燥させる方法、と言った具合にそれぞれが工夫なさっています。私も昨年来ヒストリカルにジャンル転向し、ご多分に漏れずこの問題に頭を悩ましておりました。

 最初は部屋の温風式FFストーブの風を利用して乾燥させていたのですが、気が付くと埃だらけ。そんなことから、先輩方から聞いた欧米で見かける塗った物を内部に入れて乾燥させる装置、クロックポットを自作しようと計画を立てました。
 クロックポットについては、古くはシェパード・ペイン著「HOW TO BUILD DIORAMA」でも簡単に紹介されています。その他、あるHPで紹介されていた物は、CDなどをまとめてしまう箱に裸電球を入れた簡単な物でした。性能的にはこれでも十分なのでしょうが、保温や温度調節・タイマー機能等を持った本格的な物を作ろうとしていた私にとって、意外にかかる費用や製作の時間が二の足を踏ませていました。

 それと、概ねの計画は出来ていたのですが、もう一つどうしても気になっている物がありました。昨年TVで見かけたペットボトル飲料のコマーシャルで、卓上の冷温庫なる物がキャンペーンでプレゼントされていました。その保温の性能が、ずっと気になっていたのです。年明け自作を考えている最中、妻にそのCMの事を話し「市販されていないのかな?」と聞いたところ、通信販売のカタログに同じ様な物が出ていたと言うのです。すぐにそのカタログでメーカーや性能を調べ、ついでにネットでメーカーのHPを見ると詳しく出ていました。

 メーカーはTWINBIRD、商品名は 電子冷温ボックス デュオカーゴSX。外寸法は、幅235×奥行305×高さ300mm(興味のある方の為にメーカーのHPアドレスは、http://www.twinbird.jp/) カタログデーターによると、室温23℃で庫内温度大体60℃±6℃を保つと出ていました。冷蔵の方は室温から20℃引いた温度まで下げる能力を持っています。特徴的なのは、従来の冷蔵庫などと違いコンプレッサーや発熱用のコイルを持っていない事です。機構的には、ペルチェ素子と言う半導体を使用しており、電気の流れを変える事により、冷蔵か保温に切り替える事が出来るそうです。そのせいか、保温機能を使っている分には完全な無音です。

温冷ボックス2 話は戻りますが、聞くところによるとヒストリカルフイギュアの乾燥適温は50℃とか。だったら最適ではないかと考え、商品を直に確かめに翌日ビックカメラに行ってきました。ありました、ありました!、それも、少し大きいサイズの物を含め数種類も。定価は、25,000円、大きいサイズが30,000円と結構良い値段です。しかし、さすがビックカメラ?。それとも売れないのか両方とも14,800円で販売していました。それでも良い値段ですよね。(マジで、キット買った方が良いかな?)でも本格的な自作で1万円は越しそうだった事、使用する場所は机上で有ること、今後もあまり大きな物を作る予定が無い事、これからも長く楽しんで行く事などを考慮し、購入も含め、さんざん悩んだ末に当初の予定通り小さなサイズの物を購入しました。(懐寂しいー!)

 庫内サイズは、実測 高さ21p、横14×15p、500mlのペットボトル4本収納出来る大きさです。使用電気容量は55Wと、なかなか経済的?。購入後、待ちきれずに早速実験。
スイッチを入れて2時間後、室温20℃で庫内温度を測ってみると凡そ40℃。時間が経てば、カタログデーターに近い庫内温度が期待出来そうです。その後スイッチを入れっぱなしにすることが嫌だったので、電源の差込部分に取り付けるタイマーも購入してきました。これで11時間先まで制御出来ることになりました。
 夜中に作業して庫内に入れ、朝出勤する頃電源が落ちる様にも出来ます。もちろん一般家電ですから、電源は入れっぱなしでも問題は無いと思います。話によると、レジン物は120℃まで加熱は大丈夫と聞きましたので、内部に入れる物の材質はレジン・メタルを問わない事になります。60℃位だったらプラ材でも大丈夫かな?もともとアウトドアも視野に入れた製品なので、家庭ではキットの乾燥器、外では家族サービス用として使え、一石二鳥!。奥さんへの言い訳にも十分対応出来ます!(笑)
 それで実際に使った感想として、レジンキットで使用した場合ですが、乾燥時に臭いも特別出ませんし、極端に熱くて触れないと言うまでの加熱はないです。ただ内部に置く際に中で転がらないように注意する事くらいで、性能的には十分満足する結果が得られたと言えます。それと、私にとって悩みの種だった塗装後の埃対策にもなって、もう手放せません。キット購入を我慢しても手に入れた甲斐がありました。ただ、ゆっくり乾燥だから、せっかちな人には不向きかな?(^_^)

 最新情報ですが、つい先日新聞の通販広告で、中国製の同様な物が一万円そこそこで出ていました。機能的には同じ位ですので、今回の紹介品より安い分お得かな?(ちょっと悔しい!)以上、人それぞれの乾燥方法があるとは思いましたが、一つの選択肢として同好の士に報告致します。