チョッパー2(The CHOPPER U)  (NWSL)    鈴木

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 この道具を初めて見たのは、トニー・グリーンランド氏の著書「パンツァーモデリング・マスタークラス」ででした。プラ板を切るのが苦手な私は、とても便利に見え、海外のモデラーがずいぶん羨ましく思えたものでした。

全体 当初入手は無理と諦めていたのですが、そのうちネットショッピングが盛んな世の中になりました。機会があって個人輸入も教えて戴き、経験を積むうちに多少の自信も付いてきました。最近、手にしたある書籍で新しい型が出た事を知り、改めて検索で調べて、アメリカのあるWebShopでの購入を決めました。理由は、他より少し安かった事と、大手のShopだった事で安心感を持てたからでした。
 ところが、04年7月初旬に注文をしてから、入手までにほぼ3ヶ月もかかりました。普通、模型関係のShopの場合、注文から入手までおよそ10日位ですが、こんなに個人輸入で時間がかかったのは初めてです。最初は、国内のどこにもなかったはずが、モタモタしているうちにあちこちの模型店での取り扱い広告が・・・。その間いろいろあったのですが、長くなりますので、当会の宴会余興話とさせていただきます。

 さて、それでは本体について。メーカーは、アメリカのNorth West Short Line 社。元々は、鉄道模型製作用の道具を作っており、チョッパーも薄い木板やプラ板の切断の道具として開発されたようです。大きさは、ベースを基準にすると18センチ角の正方形です。ベース素材はダイキャストで、下に4カ所滑り止めがついて、適当にずしりとします。切断ガイドとして、角度のついた2枚の金属板が付属しています。これらを本体のクランプで押さえ、30°、45°、60°、90°と角度を決めて切断する事が出来ます。クランプには、適当に締め付けた後も取り外ししやすいように、スプリングが芯の部分に付いています。必要であれば、自分で専用ガイドを作って好きな角度に切断出来るようにする事も出来るでしょうね。

 さて、肝心のブレードですが、押し切り専用の刃で、切った後がカッター等で切る時の様なプラ板のめくれが出来ません。刃の実際に切断出来る部分の長さですが、奥行きおよそ35.5mmあります。ですから、奥行きが長い物の作業に利用したい方にはお薦め出来ません。どちらかと言えば、エバーグリーンやプラストラクト等の、あまり奥行きの無い加工済みプラ材を均等に切ったり、決まった角度、長さで大量に切り出したい時にその力を発揮しそうです。
 そう言う事から、長さがある物のカットには作業台が18センチしかありませんので向いていません。でもと言う方には、他のチョッパー、たとえば、初代のチョッパー(グリーンランド氏の著書の物)とか、チョッパーVをお薦めします。こちらの物だと、ベース部分が只の板状ですので、広い作業スペースにおいての切断作業に向いています。蛇足ですが、あるアメリカのモデラーのHPで見たのですが、このチョッパーUに取り付けるジグを自作して、メートル級も切れるように改造している方もいらいらっしゃるようです。(果たして意味があるのか、はたまたジグ自作マニア?)

 刃自体は、非常に薄く鋭い仕上がりになっていますので、指を怪我などしないように十分に気をつけねばなりません。私は不注意でちょいと引っかけただけなのですが、血が!キットには、予備の刃が入っていないので、出来れば購入時に一緒に入手した方がより安心かと思います。蛇足ですが、他のタイプのチョッパーには、予備ブレードがついている物があります。刃は、ダイキャストの柄の部分に押さえ板とビスで留められています。不思議な事に、刃の予備は付いていませんが、どういう訳かこの留めビスが3本予備として付いています。刃が当たる作業台ですが、この部分は1インチ角の模様が入った、ほぼ10p角のカッティングマットと同じ素材で出来ています。
このマットは正方形ですので、刃が深く食い込み始めたら、外して90°回す事で新しい面を利用出来ます。尚、刃のマットへの食い込みですが、目検討でおよそ1mm位でしょうか。説明書を見ると、ありがたい事に、この単純な構造のキットのあらゆるパーツの予備品リストが出ています。それぞれのパーツは台を除いて大変安く、もし部品が破損しても、入手さえ出来れば、いくらでも直して長く使うことが出来そうです。

 早速試し切りをしてみました。0.5mmのプラ板、プラペーパーを切ってみましたが、すばらしい切れ味に感激しました。厚いものは、カッターの刃で切るというより、何かパキッと折る様な感覚で、めくれもなくきれいに切れました。細切りも試しましたが、経験のある方はおわかりでしょうが、あまり細く切るとクルクルと輪になって切れてきます。これだと、そのような事は当然ありませんし、スパッと気持ちよく切れます。肝心の、このチョッパーUで切れるプラ板等の厚さですが、まだ良くわかりません。ですが、刃の厚さを考えると、予備の刃が無い現状では、無理にあまり厚い物の切断には利用したくはないです。今後は、入手目的のキットの改造製作に徐々に役立ってくれる事と思います。

 参考までに、今回の入手に私が支払った費用は、本体33.95ドル、運賃36.50ドル  計70.45ドルでした。国内での購入を考えると、送料を入れても2000円ほど得した計算になるでしょうか。ですが、手間などを考えるとどうだったんでしょうね?それにしても、地元価格の安いこと、驚いてしまいます。海外には、まだまだ利用出来そうな模型製作用の道具が沢山ありそうです。このメーカーにも、まだまだ利用出来そうな道具が一杯あります。例えば、サンダーとか、リベッターとか。

メーカーのURLは、
North West Short Line
http://www.nwsl.com/

国内での取り扱い先ですが、各模型店の他こちら等もあります。
JEMA Corporation
http://www.rakuten.co.jp/jema/

尚、今回個人輸入した先は、私の様な目に遭うと困りますので
、伏せさせていただきます。
2004年9月記