タイガーI初期型    (1/48 タミヤ)    島津

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 キューベル、ケッテンクラートとソフトスキンでスタートし、当初は飛行機モデルの添え物的な存在か?と思われたタミヤの新シリーズに初の戦車が登場となったのが、このタイガーT、初期型でした。特長としてはダイキャストシャーシと一部連結の組み立て式キャタピラを採用してる点で、もうシャーマン・V突も既に市場出ていてちょいと遅れ馳せながらのキットレビューって事でよろしくです。
 このシリーズ、充分に手を入れて楽しむのも良し、サクサクと素組みで手軽に楽しむにも向いていて、1/35とはまた違う新しい感覚のシリーズと言えます。何より嬉しいのが2000円以下と言うその価格帯!1/35が段々とマニアックなアイテムとなりつつあり、その価格も上がりっぱなしでAFVが年少者には益々敷居の高いジャンルとなってしまっていたのが現実でした。そこへ正にマニアからビギナーまでが満足出来るこのシリーズの登場は今後も多いに期待出来る事でしょう。今回もソフトディテールアップにとどめ塗装で何処まで1/35に迫れるか?を目標としてみました。

 先ずパーツに眼を通すと、何時もながらのタミヤのシャープな仕上がりと巧みに一体化させた部品構成が中々いい感じでそそります!ダイキャストのシャーシも最初は必要なのかな?と思ったけど、肝心の車体へのフィット感は良好で持った感じは確かに悪くないんですね。キャタピラは最近のフジミやレベルに見られるミニスケールの定番方式。この辺の精度がそのキットのひとつのバロメーターですが、少々てこずるも流石はタミヤと思わせる仕上がりで、誰もが見事に垂れ下がった状態で完成させられるのはありがたいっすね〜。
 そうそうそのダイキャストシャーシは全体がきちんと明るいグレーのサフェーサー仕上げとなってるので塗料の乗りもいいのですが、丁度後部グリルから見える内部の部分はあらかじめF・ブラック等で塗ってた方がいいでしょう。尚、そのグリルにエッチングはありませんが、D曹長に今後は専用のが出るの?って聞いたら「出さないみたいだし、要らないんじゃない?」との返答。今後の動きでは何とも言えないですが、まぁ他社から出るのではないでしょうかね。

 さて組み立てはサクサクと進みますがパーツ数を押さえてるとは言え、かなり小さいパーツもあるので、飛ばしたり落としたりで無くさないように注意が必要!…って実は作例もスモークディスチャージャーをひとつ無くしてしまいランナーから削って再現したりしてます(泣)
 キットは勿論、砲塔の左右非対称もちゃんと再現されていてるし、細かい部分では1/35で省略されていた@のフック凸モールドなんかもちゃんと再現されていたりします(画像1)基本的には恐らく1/16のデータを使ってるのかも?で、ここでちょっとした「裏技?」をひとつ。画像での左右でワイヤーロープの後部部分の長さが違うのが判るでしょうか?Aがキットそのままのパーツ。Bは「A」部分で4ミリ程詰めた物。ここで詰めると実写に良く見られるような「B」のフック部分(本来はハッチストッパー)でワイヤーを挟める事が出来る訳で、今回は省略したけど実車本来には「C」部分に「ワイヤー留め具」があり、この位置にワイヤーロープが来るのが正解。1/35でもキットのパーツを使う場合は同じ修正をするとよろし!(^_-)けど何故かこの辺は余り模型誌でも触れられていないような・・・

 それとタイガーは千鳥転輪で数が多く、パーティングラインやゲートの処理・ゴム部の塗り分け等が面倒と思ってる方。そんな事はありません!これはあくまで自分流のやり方ですが、その辺の工程を実はほとんどはしていません(画像2)ちょっと見えづらいですが、切りっぱなしのゲート部分を「D」の位置に揃えておきます。一番外側のホイルCのみちゃんとキレイに整形して取り付ければ後のゲート部分は皆隠れてしまいます(一番奥のホイルもゴム部は見えなくなるので塗らずともOKです)ただし「E」部分は見えるんで整形をお忘れなく!それとCのホイルを後付けしてるのは、ゴム部分を塗り易くする為でもありますが、同じ理由で側面のワイヤーロープも後付けにしてます。
 ドイツ戦車の場合は特にどこが見えて、見えない部分なのか?を考えるとみると作業効率が上がります。が、そこは『趣味の世界』それぞれのアプローチの仕方で楽しみましょう!今回手を入れた所は各ハッチの取手が板状のモールドなので、真鍮線に変更。ライトコードは深谷さんから貰っていた極細のソフトワイヤーがピッタリ!後は一部のフェンダーを外したくらいです。
 で、塗装ですが大西さんの箱絵がメチャクチャかっこいいんでパンツァーグレーにしようかとも悩みましたが。結局はDイエローにグリーンの迷彩としました。塗装方法は最近マンネリ気味ではありますが、セラムコートのアクリル塗料を使って1/35とほぼ同じです。一体整形が多くてディテールアップパーツを付けないとドライブラシが楽でいいですね!チッピングは使っていた「絵手紙筆ペン」の先をデザインナイフで鋭利になるように切り控え目にしています。

 で、完成すると何とも可愛らしくも非常に完成度の高いタイガーが出来上がりました!どうかするとちょっとしたミニスケール並みの値段で、この満足感は絶対オススメです!それこそ塗装違いのバリエーションも楽しめるでしょうし、100円ショップでのクリアケース等を利用すればコレクションにも最適!後にフィギュアセットも出るとの事からビネット・ダイオラマへの展開も出来ますし、AFVにちょっと興味がある他ジャンルのモデラーにも気軽に組める入門用キットとしても最適です!私、すっかりはまってしまいました!皆さんも是非、お試し下さいまし〜。