Hold&Fold  4inch MkV レポート    鈴木

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 俗に言う、エッチング折り曲げ機です。私の普段の使用頻度を考えると、大きさの割に高価な道具なので、購入までに時間をかけて研究しました。
 そもそもの私の購入動機ですが、たまに折り曲げるエッチングパーツにより、直線部でも微妙な嫌な膨らみが出ることが有り、それが気になっていました。精度的に、それほど神経質になる必要は無いのかもしれませんが、完成に際して少しでも仕上がりが良くなる方法を採りたいのはモデラーの性。余計な経費をかけずに済む、良い方法は無いものかと考えていました。私は普段、パーツを折り曲げる際には、パーツに傷が付かない滑り止めが無い小型のプライヤーや、スチール定規、金属ブロック、アクリルブロック、厚手のプラ板等の、角が立っていて、ガッチリ固定出来そうな物を使っています。ただ、前述の状況を完全に防止する事は出来ず、特に小さなパーツの折り曲げ時には四苦八苦する有様でした。(単に私の工作の仕方が悪いだけなのかもしれませんが。)

 この機器の存在は、以前から知ってはいました。しかし、本当に購入する必要があるのかどうか疑問は感じていました。そんな中、今年タミヤから簡易なプライヤー型の物が出ました。それなりに期待し、早速使用してみました。しかし、残念ながら私の想っていた構造、私の用途に応える物とは違いました。でも、まだ試していませんが、同社のステンレス製のエッチング類には効果的なのかもしれません。

 このエッチング折り曲げ機の国内で知られている主なメーカーは、2社あります。1社は、エッチメートのミッションモデルス(http://www.missionmodels.com/)。価格に比べ、外刃の長さが非常に魅力的です。作業台には、作業用ブレードに合わせて、作業がしやすいラインが有るようです。
 もう1社は、今回購入したHold&FoldのSmall Shop(http://www.thesmallshop.com/index.htm)。こちらは機種が多く、予算や目的に合わせた形で選べます。少し前では、2inchタイプの「BUG」。最近では、5inchタイプが発売されています。ただ、国内では輸入元がこれらを未だ取り扱わず、場合によっては個人輸入も考えていました。そうこうする内、市内に全国展開する新模型店が地元にオープンし、取り扱っていることがわかりました。結局、悩んだ末に、このサイズを入手する事にしました。

 以下、概要、使用感について私見を述べます。現在、購入をお考えの方の、何かのヒントになれば幸いです。
※今回の機種紹介についてですが、この機種が他社商品に比べて、特段優れていると言う訳ではありません。あくまで、私の普段の使用状況に合致したので購入、紹介させて戴くだけです。呉々も、誤解なされませんように御願いします。

本体各部寸法
作業台(黒いベース)寸法(8×75×101o )
折り曲げ刃(マルチツールヘッド)寸法(左19o・右50o)
各作業刃(左外刃 19o、他左から 9.5o、約6.5o、1.5o、4o、5o、18o)
作業刃最低厚(0.5o弱)・最高厚(6o)
締め付け用ハンドル(直径20o、高さ20o)
付属作業用ブレード(ベンディングブレード)寸法(18×38o)(片刃のカミソリ状)
裏面に直径12oの滑り止め4カ所有り

使い方
 作業台の任意の場所で、折り曲げたいエッチングパーツを作業刃(マルチツールヘッド)で挟み、ハンドルを締め付ける事により固定し、折り曲げ作業をします。作業刃は、作業台の2本のピンの範囲内、約12oの幅で前後させる事が出来、作業内容により刃を180°回転させ、通常外側にある最長の横長刃を内側に向けて作業する事も出来ます。作業台は、自体も角が鋭く立っており、大きなパーツ類の折り曲げ加工も可能になっています。ハンドル・作業刃と本体の間には、強力なバネがあります。一作業後、ハンドルを緩めるとバネの力で作業刃が持ち上がり、直ぐに別な作業を行うことが出来るようになっています。(※内蔵のバネは強力ですが、長期に渡って締め付け状態にしておくのは好ましく無いと判断し、私は、作業時以外は本体から外して保管する事にしました。)
 今回、購入の決め手の一つになったのが、ワンハンドルだった点が上げられます。普段購入するエッチング類が、スケール的に48や35が主な私にとって、当初購入を考えていた5inch以上のダブルハンドルタイプはやや面倒に見えました。尚、有る程度の複雑な折り曲げ方法は、付属の「折り曲げの基本テクニック(一例)」説明書が役に立ちます。大抵の場合、パーツによって折り曲げ方向を考えながらの作業になりますが、後は経験を積むだけだと思います。他、使用方法として、クランプ代わりにも使えると紹介されています。精密な半田つけ作業、オリジナルパーツの加工等にも利用出来そうです。他、詳しく知りたい方は、輸入元CHEVRON(http://chevron-japan.web.infoseek.co.jp/index-new.html)のHPで画像付きでその使用方法を紹介しているので、御覧になってはいかがでしょうか。

今後、私のエッチング折り曲げ作業時には、活躍してくれることと思います。当面は、この機種を使いこなす事が先決ですが、先々是非「BUG」を入手したいと考えています。理由ですが、この機種は作業用の細かい刃が多く、小さなパーツ類の加工に最も適していると思うからです。長尺物の作業は期待出来ませんが、価格的にも上位機種に比べても御買い得感はあると思います。
※画像内に写っているエッチングパーツですが、サイズ比較にライオンロア(http://www.lionroar.net/)製の1/35 キングタイガー用フェンダーを置いてみました。