Cavalier  "Zimmerit" coating sheet レポート    鈴木

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 先日の会合で、「これがコーティングシート?!」、と分かった時の会員の反応が面白かったので、こちらで取り上げることにしました。先の会員達は、会合の机上に載ったパンサーを見て、私が何らかの方法で施したコーティングだと思っていたようで、これがキャバリェのシートを貼っただけと分かった時、「えっ!これがあれ」「こんな風になるの」「接着すると、もっと膨らんだ感じになるのかと思った」等々。そう、こんな風になるんですね。自分で作っていて非常に面白かったです。貼り上がるにつれて、どんどん雰囲気が変わってくるのですもの。それも簡単に!

商品構成
 今回の記事については、一例として使用した、「ドラゴン 1/35 パンサーA 初期型」を取り上げます。袋の中には、極薄のレジン製コーティングシート1枚。コーティングを施したレジン製各部品(防盾、ゲベックカステン2個、ドライバーバイザーハッチ、砲塔後部ハッチ)。
 シートは、非常に薄く仕上がったレジン製で、成形の箇所により切れ目が入っている場合もあります。(接着仕上げをするので、何ら問題はありません。)裏面は、片面の型を使っているのか、多少凸凹があるもののレジン特有のツルッとした仕上がりです。

製作について
 私の場合を一例に紹介します。まず、車体各部に合わせて成形された、コーティングシートを丁寧に切り離す。切り離したパーツを、キットに合わせてみると分かりますが、ほんの少し大きめに出来ています。
 最初の接着作業は、接着のコツやコーティングの雰囲気を味合うために、装備品等が関係してこない、前面装甲板等の単純に接着出来るパーツから始めました。
 まず、パーツをキットに合わせ、縁にフイットする位置を見つけ、最初の接着位置を決めます。この時、余白部分にあたる位置をなるべく下側に持っていくと、切り離し時等の仕上時に目立たないようになります。また、パーツ同士を縦に合わせる位置は、どちらか片方を優先させますが、前から後ろに流れるように決めておくと、前方から見た場合に目立たなくなると思います。(もっとも、最終的にはパテのお世話にはなりますが)

 接着は、レジン製のシートであるため、瞬間接着剤を使用。接着方法は、(私の場合)慎重に位置決めした後、指で押さえつけたままでシートの裏側一カ所にデザインナイフにのせた瞬着を少量流し込み、その部分を上から指で押さえつけます。その後、接着していない残り部分に、ノズルを付けた瞬着を裏面に差し込んで少しずつ流し込み、パーツがずれないように気を付けながら、指でパーツ内部の瞬着を周囲に押し延ばし密着するようにしました。上から見ていても、接着面積が徐々に広がっていくのが確認出来ます。この時、ビックリする人もいるかもしれませんが、接着時の発熱も結構感じると思います。
 この時ですが、完全にシート内部全面に瞬着が行き渡らなくても良いと判断していました。適度に接着面があれば、浮き上がってくることは、まずあり得ませんし、何らかの理由で一部を剥がす際にも便利と思ったからです。(後に助かりました。笑)。また、仕上げる際に切り離した場所は、再度接着具合を点検して、剥がれている部分には瞬着を流し込むことで対処しました。

さて、次に各部所について。

砲塔・・・
 前面パーツは、そのままでは防盾基部部分と合いませんので、少しづつ切りながら合わせていきます。側面、後面は、ピストルポートがシートに一体で再現されています。しかし、少々コーティング具合が不格好だったので、あっさり切り離し、キットのパーツを後に接着出来るようにしました。

 後面は、ハッチ上部の雨樋が一体となっていましたが、ここもキットを生かす事にして切りとばしました。ここで一つ大事な事が。それは、防盾基部側面のパーツは用意されていないと言う事です。ではどうするか? パテで自作なさっても、問題はありません。今回は、後ほど作業する、車体側面の余分な部分のカットした残りを再利用することで解決しました。

車体・・・
 側面、後部は、装備品、ゲベックカステン、エクゾーストの凸凹部分が沢山あります。
 まずは、後部。この部分は、各点検パネルがシートにモールドされています。このまま使うには、キットのモールドを落とさないといけません。(私の場合)この部分を含め、エクゾーストの関わる部分も切り抜き、キットのモールドを生かす事にして接着しました。各点検パネルは、実車を見るとコーティングが良く剥がれていますので気にしません。ただ、ここで大失敗。ゲベックカステンを装備する部分のコーティングも接着してしまった事です。この裏側部分には、コーティングは見あたりません。剥がす手間がかかってしまいました。

 次に側面です。この部分には注意が必要です。もっとも、最初に全面に貼り、装備品がかかる部分を後に少しづつ剥がすのも手です。しかし、剥がす手間が面倒くさい私は、車体後部にシートをあわせ、比較的切り出しやすい直線部分から作業を始めました。細かい切り込みが有る部分は、キットのパーツをガイドに利用し、鉛筆で辺りを付けた部分を切り離す事で対処しました。注意深く行えば、それ程難しい作業ではありません。
 切り離した余分な部分は、取っておくことを薦めます。失敗部分、製品がカバーしていない部分に後々再利用出来るからです。
 残りの防盾等のパーツ類は、注形の際のガイドが残っているので、丁寧に成形し所定の位置に接着します。

 さて、全て貼り終えたところで、最終仕上げです。
 貼り終えた部分を再度点検し、不要にキットよりはみ出している部分を切りとばします。場合により、紙ヤスリを使い削ります。また、コーティングシート同士突き合わせの接着面がある場所には、場合によりパテを乱雑に擦り付けて再現します。
 納得がいったら、キットの残りの部品を接着しましょうそして、いよいよ塗装前の最終工程。レジン部分を中心にサーフェーサーを塗って終了。さあ、塗装を楽しみましょう!

 以上、長々と書き連ねてしまいましたが、きっと早い人なら、朝から夕方前には貼り終えている事でしょう。。

 最後に感想ですが、この手の商品、兎角人によっては、「誰が貼っても同じ様になる物なんか」とお思いでしょうが、工作している内に、以外にそうでも無いなと感じました。
 そんな事よりも、ツインメリットコーティングの各種パターンが、誰でも貼るだけで、こんなに簡単に再現出来る事の方が重要で、パテで行った作業の様にも見える実感が簡単に得られる事の方が大事なのではないでしょうか。

 そう言った意味に於いては、車輌の雰囲気をガラッと変えることが出来る、他デティールアップパーツ類に比べても、コストパフォーマンスが高い商品であると私は思います。何れにせよ、今までコーティングを大の苦手と思っているモデラーには、朗報であることに違いはありません。