T34/76 (Mod.1940 1/35 ドラゴン)製作覚え書き  鈴木

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製作年:2007年7月 

 昨年、製作の間が半年ほど空いた時期が有りました。復帰後も製作のテンションが全く上がらず、取りあえず塗装前までの完成を目指して作った物です。
当初から塗装プランも全く考えていませんでした。ある時、海外の模型誌”AFVモデラー誌”で、アダムワイルダー氏の素晴らしい3色迷彩のT34を目にしました。それは、あまりにも格好良く、色合いも含めて「まるでドイツ軍の三色迷彩」の様でした。でも、それが印象深く、結局私も三色迷彩にする事にしました。ただ、同じ様な感じではつまりませんので、どうせなら少々格好悪くしてやろうと考えました。

◇製 作
 使用した物ですが、キット、グムカ製T34/1940用PE、ヴォイジャー製T34用防滑具PE、真鍮線、少々のエポパテ。特に助かったのは、グムカのエッチングです。必要最小限で工作も楽。再現度も高く、且つ効果的。コストパフォーマンスも抜群です。御存知のように、キットは、とても良く出来ており、極普通に組んだだけでダメージ再現もしていません。履帯もキットのままです。
 あっ、二つ自作が。一つは牽引ケーブルを、試験的に付属の金属ケーブルを見本に作り替えてみました。あまり代わり映えはしませんが、高額なデティールアップ品を買わなくても何とかなる様な気がしました。今後も、要研究課題となりました。
 もう一つは、ライトステーです。これは、防滑具PEのランナー部分が計ったようにぴったりの幅で、長さの調整だけで、後はキットのパーツに合わせて適当に折り曲げて瞬間接着剤でイモ付けしています。まるで、最初からエッチングの中に付属していたみたいです。

◇塗 装
 三色迷彩と決めたのは良いのですが、実際の状態が分かる資料が無く困っていました。迷彩は吹きつけだったのか、迷彩のボケ具合はどんな具合なのか等々。結局、目にしたKVのグリーンとブラウンの二色迷彩と言われる白黒写真を元に推測する事にしました。まず、ブラウン系の艶が強い。次に、ブラウン系の塗色は、縁がはっきりした、まるで刷毛で塗った様な感じ。大戦後期の車輌では、ボケ幅が大きいブラウン系迷彩車輌の写真がある。これらを元に、大戦初期の三色はボケ無しの迷彩ではないかと勝手に推測し、今回はそれに沿って塗装することにしました。
 まず、下地色をエアブラシした後、10年以上前に調色して使い続けているタミヤアクリルのライトグリーンをエアブラシ。このグリーン、何かを作る度に減った分をつぎ足して、まるで老舗鰻屋のタレ状態です。今では、何色を混ぜたのか謎です。次に、クレオスの水性塗料の、レッドブラウンとダークイエローを塗りました。ここでは、先にも述べたように、縁がはっきりした刷毛塗りの状態を再現する為、最低限の筆塗り作業が要求されます。最初は、雑誌に出ているようにブラウンは筆で迷彩色の縁だけを塗り、中をエアブラシで塗って行きました。しかし、自分が思うような、色の濃さ等、刷毛塗りの”ベタッとした”感じが出ません。そこで、その手法を諦めて全て筆塗りをする事にしました。結局、最終的には各色の色合いのバランスを見ている内に、三色全て筆塗りをする事になってしまいました。
 ここで、完成までで一番困った事を一つ御知らせします。以前から海外誌で、あちらのモデラーがクレオスの水性塗料を使っている点が気になり、KVに続いて使ってみる事にしました。問題は、迷彩色に使ったクレオスの水性塗料のレッドブラウン。ドイツ軍迷彩色と瓶に書かれていますが、その隣に。艶有りと書かれています! そうなんです、どういう訳かレッドブラウンのみ艶有りなんです。艶消し材を適当に入れて見たのですが、足りなかったのでしょう、思うようには艶が消えず苦労しました。クレオスさんには、今後是非改めて欲しいと願っています。
個人的には、この塗料、結構気に入りました。臭いもありませんし、クレオスのエアブラシとの相性も抜群で、吹き出し口には塗料だまりも出来ませんでした。今後、ラッカー系と同数の色数になる事を期待しています。(※大昔、グンゼの水性塗料第一号の「レペ」を使用した時の悪印象が、すっかり払拭されました。)

 迷彩色が全て塗り終わったら、艶消し材をオーバースプレーして、雑誌で良く書かれている手法を駆使してウェザリングです。途中気が向いたので、グリーンを除く迷彩色が塗料の品質が悪く、若しくは薄塗りの為、短期間で全体的にあちこち剥離したようにしてみました。

◇最後に
 相変わらずの無計画なドタバタモデリングでしたが、久しぶりのT34の完成品に満足しています。キット自体は大変素晴らしい出来ですので、次回製作時にはダメージ再現も忘れずに冬季迷彩で楽しみたいと思っています。

展示室画像は現在準備中です(管理人)