Fun!COATING 使ってみた      鈴木

 
 気になっていた、エアブラシに撥油・撥水効果を施すコーティング剤。ようやく入手出来たので早速使ってみました。

 その前に、Fun!COATINGって何?と言う方。メーカー解説によると、
「メッキや金属の表面を、高硬度・高密着にコーティング『撥水』『撥油』『防汚』『低摩擦』などの機能を付与できます。ハンドピースにコーティングする事で、塗料の切れが良くなり、手間だった洗浄が簡単に!お手入れラクラク!吹き心地も良くなります!更にニードルの固着の回避が可能!コーティングは透明なナノメーターレベルの膜であるためハンドピース外観や塗料のシール性などに影響を与えません。」
と言う事で、手持ちのハ ンドピースが高機能になると言う事です。

 購入前からユーチューブでメーカー等の動画を見て、自分なりに考察しいろいろ試してみました。買ったは良いけどどうしたら良いの? これから購入を考えている方の参考に少しでもなれば幸いです。

 内容量が10mlと価格を考えるとギョッとする様な量。どこかでエアブラシ2〜3本の量とか目にしました。それなら作戦を考えないと損だと、より効率的な作業方法を試してみました。最初に考えなければいけないのは何が一番大事なのか?当然、塗料が接するところがしっかりコートされる事。ならば内部を中心に作業をする方がコスパが良いと判断。と言う事で、以下ケチケチ作戦開始〜です。

@
 まずは、エアブラシの分解。
 ニードル等に気を付けて出来るだけバラバラにする。そして、各パーツをツールクリーナー等を使いしっかり綺麗にする。この段階で手抜きをすると、残った塗料やシール材の上からコーティングする事になります。最初は、エアブラシ内部を筆やタミヤのエアブラシ用クリーニングブラシ等で良く洗う。最後に外を指紋も残さないように拭き上げる。油分、勿論指の油も嫌うようです。

A
 コーティング剤を塗布する準備をします。
 塗料皿にコーティングしたい部品をセッティングします。ニードルキャップにノズルキャップ・ノズルを逆さまにして載せます。部品は、なるべく固めておくようにします。これは、後程コー ティングを効率良く施す為です。

B
 一回に使うコーティング剤の量は?
 今回の作業に使用した量は、細いスポイトの一目盛分。25ミリ程度。(約0.3ml程度)

C
 部品を取り外したエアブラシを、部品をセットした皿の上で少し斜めにして持つ。次に、カップの内側上部に回し入れるようにコーティング剤を流し入れます。そして、素早く内部に残った液剤を古い筆等でカップ内に塗り付けます。更に、下の塗料皿の部品も同様に素早く塗り付けていきます。
 ここで大事なのは、カップに入れた液剤が下の積み上げた部品上に、特に逆さにした先端部品内部に落ちるようにする事です。これにより筆が入りづらい部分にも自動的にコートされ塗り残しが 防止できます。そして、まだ液剤が溜まった部分を筆に取りニードルに丁寧に塗りつけます。

D
 皿を見ると、ドンドン乾燥する液剤の最後に油?が残ったような部分が生じます。これを筆に取り、最後にブラシ本体の外側に塗り付けていきます。これ本当に塗れているのかなと疑問に思う程乾いた感じでも気にせず擦りつけます。他、ブラシ後部、蓋等も手早く塗り付けていきます。
 皿内の部品、特に先端部品に息を吹きかけると、内部から乾燥していない液剤が出てきたり、部品の下に溜まってたりするので、それらも塗り付けに利用します。気が付いた方もおられるでしょうが、この段階で自動的に塗料皿もコーティングされています。

E
 全体に塗り終 えた後10分程室温で乾燥させます。

F
 室温乾燥終了後、最終工程です。
メーカーの推奨は80℃で60分の乾燥。誰もがそんな設備を持っている訳ではないと思います。ドライヤーの利用でも良いと聞きますが、では何分どんな条件でかけたら良いかさっぱり分かりません。
 そこで、手持ちの冷温庫の利用を思いつきました。以前、油彩の乾燥で利用していたので庫内温度が50〜60℃になる事は確認済みです。庫内は狭いので、ここでも乾燥しやすいように収納・配置を考えます。今回は何本も一度に乾燥させる為、100均のパックに部品を小分けしてみました。

G
 コーティング作業の前に余熱を兼ねて冷温庫を温めておきます。今回、一度に6本同時作業で行いましたので、大体1時間後に庫内に収納する事になりました。乾燥時間は、こんなもんだろうと5時間にタイマーをセット。(勘です、勘。笑)寝ている間に乾燥終了します。

H
 仕事から帰宅後、乾燥後のコーティング状態を確認。「おおっ!」、表面がツルツルじゃ。勿論、内部もツルツル。(頭もツルツル…)効果が期待出来ると言うものです。

 メーカーさんが多層コーティングを勧めているので再度同じ作業を行う。その際、数回毎に部品を入れる塗料皿を変えるとコーティング済みが増えて一挙両得。

I
 超揮発性の液体なので、後生大事に「また今度塗ろう」と思っている方、御注意!!。以前、 同じように乾燥が早い物を抱えていたら、気がついたら瓶の中身が空っぽでガックリ。もし1年間保持する方法があれば、是非教えて欲しいです。(マジで)そこで、今回は連日コーティングを実施して、使い切る事を目標にしました!
 最終的に、1週間で35回程度コーティングが出来ました。
※エアブラシ33回・更にニードル・ノズル・ノズルキャップに2回別に多く塗布。

J
 最後に一言。
 何度もコーティングを繰り返すと、ノズルが塞がったりするのではと心配する人もいるかもしれません。でも大丈夫! クリア塗料じゃないんですよ、塗料じゃ。そんな事ある訳ないじゃないですか。ナノレベルで金属表面で化学反応してコーティングするので 全く安心です。今回は最高で6層かけてみましたが、ニードルがスムースに動くので感動です。安心して多層コーティングしてみて下さい。

今後は、多層コーティングを施した効果がどの程度の期間持つのかの検証となります。尤も、極端に製作ペースが遅い私なので当分の間結果発表とはいかないかな。(笑)

蛇足です。
 一人でそんなに使う先が無いと言う方。知り合いがいるのなら、複数人で購入して使うのも有りだと思いますよ。もっとも、こんな便利な機能が付加できるのなら、メーカーが最初から半永久的に持つコーティングを施した製品を出してくれればなと思います。多少高くても、結果トータルコストが下がるのなら言う事はないのでは ないでしょうか。