不親切

 ヒストリカルフィギュアを始めて約3年、主にヨーロッパのキットを中心に作って来ましたが、感心するくらい不親切な事があります。それは説明書です。昔、中学生の頃作ったタミヤのプラモデルの説明書などイラスト入りで色の塗り方なども詳しく書いてあったものです。勿論現在もその伝統は続いていると思いますが...。
 数年前、一時帆船模型作りに凝った時期があり、イタリア、スペインなどの大型帆船模型を作りましたが、この説明書は驚嘆する位細かいものでした。勿論帆船などは、無数のロープを順番通りに張っていかないと完成は無理です。

 これらに比べてヒストリカルフィギュアの箱の中には、普通説明書というものは入っていないのが一般的なのです。箱の表に完成写真が一枚張ってあるだけです。したがって組み立ての順番、着色の構想なども自分で決めなければなりません。最悪なのが写真です。前から写したものの一枚というのが殆どですので、後ろはどうなっているのか、これまた想像の世界です。接着の順番を間違えて、あとで部品が入らなくなってしまったり、見えない部分の色が全くありえない色だったりしたり失敗は多々あります。

 でも失敗を繰り返すうちにこの“不親切さ”がかえって想像力を増して楽しさに変わって来たのです。見えない所の色をいろんな雑誌、専門書で調べたりして図書館へ行く回数も増えて来たのでした。日本では電車に乗るときホームや車内放送で騒音並の“説明”がありますが、ヨーロッパの駅ではこんな事はありません。電車も発車時間になると発車ベルも無く全く静かに駅から出て行ってしまいます。これを知らない日本人観光客は乗り遅れる事もある事でしょう。きっと“想像力”“自己責任”といったものへの考え方が違うのでしょうね。そんな事を考えながら、組み立ての順番をいつも間違えて今だ進歩のない私でした。不親切は本当は親切なのかもしれません。