11  プラモのマグマ大使(金メッキ模型の悲劇)

 子供の頃、テレビで「マグマ大使」と言う番組があった。
 原作は、かの有名な故手塚治虫氏である。原作は漫画だが、TV版は実写ものであった。昨年、残念なことに主人公役を演じたかつての人気歌手グループの一人が犯罪で逮捕 されたことは記憶に新しい。

 当時、番組は子供達に非常に人気があった。ゴアと言う悪役が出す怪獣が現れると、主人公の子供が「助けてー、マグマ大使―」 とロケット型の笛を吹くと、すぐに、そんなに大きくは見えない金色のロケットがヒョ ロヒョロ飛んできて、「カシーン、カシーン」と言う音とともに、そんなご無体なと言うくらい大きな無表情の金色のロボットに変わる。ロボット変形物の元祖的な番組だっ たのかも。あれ、変身出来るロケットだったかな?

 この頃、経緯は忘れたが、この「マグマ大使」の金メッキの模型、それもモーターで歩く物をもらった。子供にとっては大変高価な、プレゼントである。(メーカー名等忘れて しまったが)当然、うれしくて我慢なんかしない。すぐ作り始めた。ところが、悲しいかなメッキ模型組立の基本である、接着面からメッキをはがすことなんか、これっぽっちも知らない、勢いでガンガン作る。できたー、カッコイイ。なんて、悦に浸っている。 当然動かしたくなる。「マグマ大使―」と叫びながら、スイッチオン、ギー、ギー、モーターが動き出すと共に「僕のマグマ大使」が一歩また一歩、部品をばらまきながら前進を始めた。「あ″ー 。」