O部も発行され、10万部に手が届 きそうとのこと。今回の文庫化に際し、出版社側は、以前出版した時はどちらかというと愛好家(もちろん模型の)向けの色合いが強い作品と位置づけられていたとのことから、著者と相談して幅広い読者の獲得を目指して内容を刷新することにしたそうだ。(購買層は、30〜40歳台とのこと)

 まあ、影には出版業界の異常な文庫本の出版状況(毎月数年前の倍、400冊位が刊 行されている)からの危機感から、構成刷新をしないと出版する側として生き残れないと言う思いかららしい。

 それを読んで即、私、大慌てで近くの書店に買いに走りました。購入後、読んでみると確かに違う!大幅に面白くなっている。より詳しく、写真も増え、社員の証言、海外の取引先から見た著者像、あとがき等、なかなか読み応えも増加。以前に単行本で読んでいても、再度新鮮な感動がある。でも、この表紙のフィギュア、なんとかならんかったのかな…。(興ざめ!)

 それにしても、社長である田宮俊作氏はじめ社員の方々の奮闘・努力なくば、今に繋がるタミヤ、模型業界の繁栄(日本は、ちょっと不況だけれど)は、それほどでも無かったのでしょうね。 模型製造業と言っても所詮はビジネス、でもそれを越える「模型が好きだ!」と言う熱い思いが彼らを支えてきた事は誰も否定できない事実。製品からその思いを敏感に感じ、支持してきた人達が大勢いた事が現在のタミヤ、ひいては模型業界の繁栄に繋がっている。(以前、本で読んだことがあるが、商売で成功する一つの秘訣に、自社のファンを他より多く創ることが必要であると言う。)
 更に、本を読むと、普段聞いていてもなかなか自覚出来ない事に、タミヤは日本人が世界に胸を張れるメーカーの一つである事がはっきりと分かる。(特にあとがきで。かく 言う私も、読書後改めて自覚) 普段はどうしても、メーカーにケチをつけたり、わがまま言いたい放題になりがちなのはモデラーの性。誰しも、国内の模型メーカーが、世界を相手にビジネスをしていることなど模型を作る上でこれっぽっちも考えていないからなー。

 今回は、別に太鼓持ちの思いから書いた訳ではなく、素直な気持ちから賞賛すべき所は 賞賛すべしと思ったものですから。 だからと言って、メーカーに対して、不満が全く無いわけではない。まあそれは、いずれの機会にキッチリと…。

 タミヤファンであろうがなかろうが、模型好には一読お奨めします。
 「田宮模型の仕事」 田宮俊作著 文春文庫 524円(税別) だよ。